2010年11月15日月曜日

立ち上がれ日本人 マハティール・モハマド

以下、アマゾン抜粋。

元毎日新聞特派員の加藤暁子氏、マハティール氏。

日本論・反グローバリズム論のみならず中国論・イスラム教論まで多岐にわたる。また、51ページにわたり加藤氏によるマハティール氏の伝記・思想の解説があるので、コンパクトな新書版ながらマハティール氏の考え方のほぼ全貌をつかむ事ができる。
 まず、日本については、かつての成功の要因であった終身雇用・政府と産業界の協調、勤勉性が、欧米文化の「自由」に毒されたのか、失われた事が現在の混乱と停滞を招いていると分析する。軍国主義と愛国心は全く別物で、日本人はもっと自分たちの持っている優れたものを愛するという意味の「愛国心」を大切にせよと説く。

 欧米流の「自由」やグローバリズムに、マハティール氏が疑問を感じているのは、イギリスの植民地だった体験に基づく。これがマハティール氏をIMFや為替投機に立ち向かわせた原点ではないかと思った。
 IMFとの対決と同時に国内ではNo.2のアンワル氏を失脚させたなど、外患と内憂の両方に同時対応した手腕と能力はすごいと思った。

 イスラム教徒として、イスラム教はテロとは異なる、キリスト教よりはるかに平和的な宗教であると説きイスラム教に対する誤解を解こうとしている。 
 マレーシアが、国際競争力を向上させるために小学校1年から数学と科学を英語で教える点は考えさせられた。

 中国については急速な民主化・市場経済化を避けて段階的に行い繁栄を築いた点を高く評価し、中国脅威論とは一線を画している。
 三井物産の鈴木氏の無償技術提供でマレーシアのパイナップル缶詰の輸出が可能になった等、地道な協力が日本とマレーシアとの友好に貢献していると思った。